あなたの飲んでいる薬は? 向精神薬の解説と一覧
今回は「向精神薬」について解説してみようと思う。
私自身も知らないことが多く、調べながらの執筆だったので時間がかかってしまった。
わかりやすく解説できているといいのだが。
それでは早速。
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向精神薬とは?
向精神薬とは、中枢神経系に作用し、精神活動に何らかの影響を与える薬物の総称である。
広い意味ではアルコールなどの嗜好品、覚せい剤などの精神異常発現薬なども含まれるが、一般的には精神疾患の治療に用いられる薬物を指す。
要するに抗うつ薬や抗不安薬、睡眠導入剤(睡眠薬)等、精神科で使う薬のことだが、一部には向精神薬ではない薬もある。
うつ病や不安障害の治療では一般的によく使われており、医師の指示通り服用していれば問題はない。
しかし、薬には副作用がつきものである。
副作用がきつい、飲んでも効かないなど、自己判断で薬を絶つと離脱症状(禁断症状)で苦しむことになり、離脱症状がおさまっても再発の可能性は極めて高いのだ。
どうしても辛いという場合は、まず医師に相談しよう。
特に抗うつ薬は、効き目が出てくるのに2週間~1ヵ月を要する。
薬に慣れてくれば副作用もなくなっていくのが一般的だ。
個人によって薬が合わないケースもあるので、細かいことでも医師に伝えることを習慣づけよう。
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向精神薬の副作用は?
副作用には一般的にみられるもあれば、まれにみられるものもある。
主なものをまとめてみよう。
- 眠気やめまい
- ふるえ或いは筋肉がぴくつく、こわばる
- 手足の動きが鈍くなる
- 口の周りや身体が細かく動く
- 食欲増進
- 無月経や乳汁分泌
- 口や喉の渇き
- 日光過敏症
- 性機能障害
- 血液障害
- 悪性症候群 ※向精神薬(主に抗精神病薬)を服用中に高熱や意識障害を起こすこと
薬に副作用を伴うのは自然なことではあるが、必ず医師に伝えることだ。
中には危険なものもあり、放っておくことで重篤な症状を引き起こすケースもある。
いくらきちんと伝えても改善しない場合は、病院を替えることをお勧めする。
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向精神薬一覧
向精神薬には、化学構造式上の分類や薬理作用による分類、適応疾患に基づく分類など、たくさんの分類の仕方がある。
今回は内服薬のみを薬効分類名とともに記載する。
ベンゾジアゼピン系を「一般名(商品名)薬効分類」
非ベンゾジアゼピン系を「一般名(商品名)薬効分類」
バルビツール酸系を「一般名(商品名)薬効分類」
それ以外を「一般名(商品名)薬効分類」
と色分けし、五十音順に表記するものとする。
主に睡眠に関係する向精神薬
- アモバルビタール(イソミタール・アルプラゾラム) 催眠鎮静剤
- エスタゾラム(ユーロジン・エスタゾラム) 睡眠剤
- クアゼパム(ドラール・クアゼパム) 睡眠障害改善剤
- ゾピクロン(アモバン・ゾピクロン・アモバンデス) 睡眠障害改善剤
- ゾルピデム(マイスリー・ゾルピデム) 入眠剤
- トリアゾラム(ハルシオン・ハルラック・トリアゾラム) 睡眠導入剤
- ニトラゼパム(ベンザリン・ネルボン・ニトラゼパム) 睡眠導入剤
- バルビタール(バルビタール) 催眠・鎮静剤・抗けいれん剤
- ハロキサゾラム(ソメリン) 睡眠導入剤
- フルニトラゼパム(サイレース・フルニトラゼパム) 催眠鎮静剤、抗不安剤
- フルラゼパム(ダルメート) 催眠鎮静剤、抗不安剤
- ブロチゾラム(レンドルミン・ブロチゾラム・ノクスタール) 睡眠導入剤
- ペントバルビタール(ラボナ) 催眠・鎮静剤
- ロルメタゼパム(エバミール・ロラメット) 睡眠導入剤
主に不安に関係する向精神薬
- アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン) 抗不安薬 ※
- エチゾラム(デパス・エチゾラム) 精神安定剤
- オキサゾラム(セレナール) 催眠鎮静剤・抗不安剤 ※
- クロキサゾラム(セパゾン) 催眠鎮静剤・抗不安剤 ※
- クロチアゼパム(リーゼ・クロチアゼパム) 心身安定剤
- クロラゼプ酸二K(メンドン) 抗不安剤
- クロルジアゼポキシド(バランス・ロルジアゼポキシド・コントール) 抗不安剤
- ジアゼパム(ホリゾン・セルシン・ジアゼパム・ジアパックス) 精神安定剤
- フルジアゼパム(エリスパン) 催眠鎮静剤・抗不安剤 ※
- ブロマゼパム(レキソタン・セニラン) 催眠鎮静剤、抗不安剤
- メダゼパム(レスミット・メダゼパム) 抗不安剤
- ロフラゼプ酸エチル(メイラックス・ロフラゼプ酸エチル) 持続性心身安定剤
- ロラゼパム(ワイパックス・ロラゼパム) 催眠鎮静剤・抗不安剤 ※
その他の向精神薬
- クロナゼパム(ランドセン・リボトリール) 抗てんかん薬
- クロバザム(マイスタン) 抗てんかん薬
- フェノバルビタール(フェノバール) 抗てんかん薬
- フェノバルビタール配合(アストモリジン・トランコロンP・ベゲタミンA、B・ヒダントールD、E、F・複合アレビアチン) 抗てんかん薬
- ペモリン(ベタナミン) 精神神経用剤
- ペンタゾシン(ソセゴン・ペルタゾン) 鎮痛剤
- マジンドール(サノレックス) 食欲抑制剤
- メチルフェニデート(リタリン・コンサータ ) 中枢神経刺激剤
- モダフィニル(モディオダール) 精神神経用剤
主に統合失調症、双極性障害に関係する向精神薬(抗精神病薬)
定型抗精神病薬
- クロルプロマジン塩酸塩(ウインタミン・コントミン) フェノチアジン系精神神経安定剤
- スピペロン(スピロピタン) ブチロフェノン系精神神経用剤
- スルピリド(ドグマチール・アビリット・ミラドール) ベンザミド系抗潰瘍・精神情動安定剤
- スルトプリド塩酸塩(バルネチール) ベンザミド系精神神経用剤
- チアプリド塩酸塩(グラマリール) ベンザミド系チアプリド製剤
- チミペロン(トロペロン) ブチロフェノン系抗精神病剤
- トリフロペラジンマレイン酸塩(トリフロペラジン) フェノチアジン系精神神経安定剤
- ネモナプリド(エミレース) ベンザミド系抗精神病剤
- ハロペリドール(セレネース) ブチロフェノン系抗精神病剤
- ハロペリドールデカン酸エステル(ハロマンス、ネオペリドール) ブチロフェノン系持効性抗精神病剤
- ピパンペロン塩酸塩(プロピタン) ブチロフェノン系精神神経用剤
- フルフェナジン(フルメジン・フルデカシン) フェノチアジン系精神神経用剤
- プロクロルペラジン(ノバミン) フェノチアジン系精神神経用剤
- プロペリシアジン(ニューレプチル) フェノチアジン系精神神経用剤
- ブロムペリドール(インプロメン) ブチロフェノン系精神神経安定剤
- ペルフェナジン(ピーゼットシ一・トリラホン) フェノチアジン系精神神経安定剤
- モペロン塩酸塩(ルバトレン) ブチロフェノン系精神神経用剤
- レボメプロマジン(ヒルナミン・レボトミン) フェノチアジン系精神神経安定剤
非定型抗精神病薬
- アリピプラゾール(エビリファイ) 抗精神病剤
- オランザピン(ジプレキサ・ジプレキサザイディス) 抗精神病剤・双極性障害治療薬・制吐剤
- クエチアピン(セロクエル) 抗精神病剤
- クロザピン(クロザリル) 抗精神病剤
- パリペリドン(インヴェガ) 抗精神病剤
- ブロナンセリン(ロナセン) 抗精神病剤
- ペロスピロン(ルーラン) 抗精神病剤
- リスペリドン(リスパダール・リスパダールコンスタ) 抗精神病剤
用語解説
バルビツール酸系とベンゾジアゼピン系など
薬の構造の違いによる分類で、バルビツール酸系の方が歴史は古い。
依存性が高く乱用されることもあり、比較的安全なベンゾジアゼピン系が開発されてからは、睡眠に関する薬としては推奨されていない。
ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系も構造式上の違いはあるものの、効果や副作用、危険性までも類似しているのが特徴である。
他にも分類の種類はあるが、今回は主な3つに絞った。
マイナートランキライザーとメジャートランキライザー
上の主に不安に関係する向精神薬一覧で、「※」がついているのがマイナートランキライザーと呼ばれる薬である。
トランキライザーとは精神安定剤のことを意味し、マイナートランキライザーとメジャートランキライザーの2種類が存在する。
メジャートランキライザーは抗精神病薬のことを言い、主に統合失調症の治療薬として使われている。
一覧の最後、(抗精神病薬)に表記されている薬のすべてが当てはまる。
定型抗精神病薬と、新世代の非定型抗精神病薬に差別化されているのが特徴。
マイナートランキライザーは抗不安薬とも呼ばれ、主に神経症やうつ病、心身症などに使用される。
一般的にいう精神安定剤は、ほぼマイナートランキライザーのことを指している。
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麻薬及び向精神薬取締法
「麻薬及び向精神薬取締法」という法律で、「向精神薬」は取締りの対象となっている薬である。
他の区分には、「毒薬・劇薬」「麻薬」「覚せい剤」「覚せい剤原料」「処方せん医薬品」「指定医薬品」「習慣性医薬品」がある。
麻薬と同列に取締られるほど、向精神薬は乱用され、依存者も多い。
営利目的での入手や、第三者に譲る、売るといった行為は禁止されている。
罰則については以下に引用する。
第六十六条の四 向精神薬を、みだりに、譲り渡し、又は譲り渡す目的で所持した者(第七十条第十七号又は第七十二条第六号に該当する者を除く。)は、三年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び百万円以下の罰金に処する。
向精神薬をみだりに譲り渡す行為、または譲り渡す目的で所持した者は、3年以下の懲役。
同じ行為を営利目的で行った者は、5年以下の懲役、または5年以下の懲役及び100万円以下の罰金に処せられる。
向精神薬に該当しない薬でも、家族や知人に譲る行為は避けるべきである。
病院の処方箋は患者個人の症状に合わせたものであり、患者以外が服用することなど想定していない。
自分が所持する処方薬には責任を持ち、説明書に目を通して薬の知識をそなえておくことも大事である。
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向精神薬の依存性、乱用について
精神疾患者の向精神薬依存は、主に鎮静薬、睡眠薬、または抗不安薬に対して耐性ができてしまい、通常の用量では効果がなくなることが発端となる場合がほとんどだ。
上限量を飲んでも効かない時は、医師に告げて薬の変更などの策を講じてもらうべきである。
しかしながら、精神疾患者はメンタル的に不安定なことが多く、自己判断で上限量以上を服用し、その行為が持続することで乱用に繋がってしまうのだ。
医師に隠して複数の病院から薬を処方させたり、違法な手段で薬を入手しようとする。
前者の場合、おくすり手帳を複数持つことになるが、必ずいつかは露見する。
違法な売買への取締りも年々強化されており、やはり同様の結果となるだろう。
当然のことながら、おくすり手帳は1人に1冊が基本である。
向精神薬の乱用は常に死と隣り合わせであることを忘れないでいただきたい。
死ぬつもりで飲んだわけではないのに、自殺と判断されることもある。
また、医師側に問題がある場合もあり、簡単に依存性の強い薬を処方したり、患者の正確な状態を見過ごしてしまうこともあるのだ。
医師に直接言いにくいのであれば、薬局の薬剤師に相談するのもいい。
一度依存症になってしまうと、やめたいと思った頃にはもうやめられなくなっている。
必死の思いで抜け出しても再発率が高い依存症。
向精神薬を2つ、そして今回は取り上げなかった劇薬を2つ処方されている私にとっても決して他人事ではない。
出典: 休養・こころの健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
出典:・麻薬及び向精神薬取締法(◆昭和28年03月17日法律第14号)
出典:管理薬剤師.com
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向精神薬のまとめ
- 用量・用法を守ること
- 説明書を読んで薬について知っておくこと
- 自己判断で増やしたり中断したりしないこと
- 薬については医師や薬剤師に相談すること
- 人に譲ったり売ったり、違法な手段で入手しないこと(罰則あり)
- 医師の判断や処方に疑問を抱いたら、セカンドオピニオンもしくは転院を試みること
診察の際に質問しようと思っていたことを忘れてしまったり、うまく言い出せなかったりする人には、伝えたいことをメモして持参することをお勧めする。
メモを見ながら話すのもいいし、メモを医師に渡して読んでもらうのもいい。
有効な治療を受けるためにも、まずは自分の状態を正確に、正直に伝えることこそ肝要だと信じるものである。
今回の記事は私も勉強しながら書いたものなので、誤りなどがあったら遠慮なくご指摘を賜りたい。
それではまた。
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