理解されにくい【社交不安障害 SAD】症状や治療など
今回は不安障害の中で、もっとも患者数が多いと思われる「社交不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)」を取り上げる。
コロナ禍の現代社会では、誰しもが多少なりとも不安を抱えているもの。
コロナ以前からストレス社会と言われていたほどなので尚更である。
実は私自身も社交不安障害を抱えている。
通常の不安と障害としての不安はどう違うのか、また特徴的な症状などについて解説する。
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社交不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)とは
通常の不安や緊張状態ならば、その原因がなくなれば自然と解消するものである。
これは、ごく一般的な状態だ。
だが、不安や緊張状態が極度に強く、そういった状態を避けることにより、日常生活に支障を来してしまう場合がある。
それが社交不安障害(SAD)と呼ばれるものだ。
人前で話すのが苦手、周囲の視線がとても気になる、電話に出るのがいや というような状態を、自分の性格のせいだと思っている人も多いだろう。
でも上記のように、日常生活を送るのが困難なほどになっているのなら、社交不安障害(SAD)であると言える。
社交不安障害(SAD)の原因
1つ目の原因は、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れてしまうことにある。
社交不安障害(SAD)の人の脳は不安な状況に対し、健康な人の脳より過敏な反応を起こし、脳内の神経伝達物質セロトニンの量が低下すると考えられる。
セロトニンとは、特に恐怖や不安を和らげる物質で、これが少ないと神経伝達がうまくいかない。
そのため、生活に支障が出るほどの恐怖感、緊張感、不安にさらされてしまうのだ。
2つ目の原因として、不安を感じやすい気質、性格傾向が挙げられるが、これには日本社会という環境が背景にあることを記しておく。
原因になりやすい性格傾向をいくつか挙げよう。
- 真面目で責任感が強い
- 心配性で完璧主義
- 人との交流が苦手で、交流を求めない
- 人から良く(高く)評価されたい
あくまで「傾向」である。
当てはまらない人もいるだろうし、逆に当てはまったとしても、日常生活に支障がなければ問題はない。
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社交不安障害(SAD)の特徴的な症状
- 人前で話すことが極度に怖い、または極度に緊張する
- 人と話すのが極度に怖い、または極度に緊張する
- 周囲からの視線が極度に怖い
- 注目されると緊張する、赤面する、汗をかく
- 周囲に人がいると用を足すことができない
- 人前で電話をかけるのが怖い
- 人前で文字を書く時に手が震える
- 人前で食事ができない
引用:ご家族・パートナーのためのサポートガイド 大切な人が社交不安障(SAD)になったら…
こちらも個人差があるので、当てはまる項目や当てはまらない項目があると思う。
人前に出て声や手が震えたり、赤面したりという状態が代表的な症状らしいが、私には当てはまらない。
私の症状は、「1人でないと食事ができない」「電話が怖くて出られない」「呼び鈴(ピンポン)を押されても怖くて玄関へ行けない」くらいのものか。
心因性の聴覚異常(解離性障害の症状の1つ)があるのと、そういう音にトラウマがあるので当然の症状だと思っている。
ただ「1人でないと食事ができない」は、昨年「会食恐怖症」を知るまで摂食障害だと信じ切っていた。
拒食症の経験もあったので。
まさか社交不安障害(SAD)の症状だったとは。
個人的な話になってしまったが、極度の不安・緊張・恐怖には自覚を伴う。
なかなか受診に踏み切れずにいる人も多いだろう。
早期治療が改善の早道なので、1人で不安な場合は家族に付き添ってもらい、受診することをお勧めする。
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社交不安障害(SAD)の治療
治療には薬の服用と、カウンセリングによる精神治療がある。
カウンセリングは理学療法士がいる病院でなければ受けられないので、病院を決める際に確認しておいた方が安心だ。
薬はおもにSSRIという種類のものが用いられる。
上の昨年の記事より、薬の部分を引用する。
エスシタロプラムシュウ酸塩(レクサプロ)
SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬。シナプスにおけるセロトニンの再吸収に作用する。抗うつのほか、抗不安薬としても使用される。
また、場合によっては他の抗不安薬をプラスすることもある。
同様に上の記事から引用する。
主に不安に関係する向精神薬
- アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン) 抗不安薬 ※
- エチゾラム(デパス・エチゾラム) 精神安定剤
- オキサゾラム(セレナール) 催眠鎮静剤・抗不安剤 ※
- クロキサゾラム(セパゾン) 催眠鎮静剤・抗不安剤 ※
- クロチアゼパム(リーゼ・クロチアゼパム) 心身安定剤
- クロラゼプ酸二K(メンドン) 抗不安剤
- クロルジアゼポキシド(バランス・ロルジアゼポキシド・コントール) 抗不安剤
- ジアゼパム(ホリゾン・セルシン・ジアゼパム・ジアパックス) 精神安定剤
- フルジアゼパム(エリスパン) 催眠鎮静剤・抗不安剤 ※
- ブロマゼパム(レキソタン・セニラン) 催眠鎮静剤、抗不安剤
- メダゼパム(レスミット・メダゼパム) 抗不安剤
- ロフラゼプ酸エチル(メイラックス・ロフラゼプ酸エチル) 持続性心身安定剤
- ロラゼパム(ワイパックス・ロラゼパム) 催眠鎮静剤・抗不安剤 ※
同じ症状で同じ薬を服用しても、個人的に合う、合わないがある。
薬に関して不安を感じたら、すぐに医師に相談しよう。
これらの薬はすべて、自己判断で飲む量を増やしたり、中断したりしてはいけないものである。
正しい用量と用法を守ることが肝要だ。
社交不安障害(SAD)自立支援サービスを利用しよう
社交不安障害(SAD)と診断されたなら、まず最初にすることは自立支援医療制度の利用申請である。
申請すれば医療費負担は1割になる。
是非、こちらの記事を参考にしていただきたい。
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の交付申請手続きまでを解説している。
交付の可否の判断までに3ヵ月ほど要するが、交付されれば障害者年金受給の申請もできるので、医師と相談の上、障害者手帳の申請手続きをしておこう。
障害者手帳が交付されると、その障害等級によって様々な支援を受けることができる。
これらの制度は役所や病院ではわざわざ教えてくれないので、まずは自分から医師に尋ねてみるのがいいだろう。
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あとがき
慢性的な鉄欠乏性貧血と、現在は足腰を痛めていて散歩もできない状態。
でも、こうして書くことができる。
今の心身では、それだけで充分だ。
というより、これ以上のことができないだけなのだが。
日付けが変わる前に投稿しよう。
それではまた。
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