仁か義か 彼らに突きつけられた試練
今回はオタクの方々とは違う視点から、SMAPについて語ってみたい。
きっと異論のある方もいらっしゃるだろうが、生温かく読んでいただけたら幸いです。
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SMAPに興味を抱いたキッカケ
私はSMAPが好きなことは確かだが、いわゆる「スマ姐さん」と呼ばれるオタクやファンの方たちの域までは達していない。
でも「茶の間」よりは熱心であるし、関西テレビ・フジテレビ共同制作の『SMAP×SMAP』(通称スマスマ)は欠かさず、個人の仕事は可能な範囲で観ていた。
ファンと言えないのは私独自の視点に偏りがあるせいである。
以前の記事で書いたように10代の私はどっぷりビートたけしオタクであり、その後もお笑い・バラエティオタクとしてテレビ番組をよく観ていた。
スマスマが始まる前のフジテレビ深夜帯『SMAPのがんばりましょう』で彼らを知り、下ネタトークも平気で喋り屈託なく笑っている彼らに、失礼ながら「アイドルがこんなんで大丈夫か?」と半笑いで観ていた私。
今思えば、もうその頃からSMAPというグループに惹かれていたのだろう。
『夢はモリモリ』は観ていない。
それなのに、彼らが青松・赤松・桃松・白松・黄松・緑松に扮して歌っている姿を観た記憶があるのが謎。番組外の放送だったのかもしれない。
まだ年長の中居正広さんと木村拓哉さんが二十歳くらいの頃だと思う。
やがてスマスマが始まり「アイドルが本格的なコントをする」という異色のバラエティを観始める。
初めこそ「オチまでダラダラし過ぎ」「え、今のがオチ?」というお笑いオタク目線で観ていたのだが、彼らのコントはどんどん面白くなっていった。
あの成長の速さは何だったのだろう?
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森且行さんの脱退
まだSMAPに愛着があるほどではなかった頃の出来事。
アイドルといえば若い女子や子どもたちが騒ぐもの、という固定観念がはびこっていた時代である。
どんなに人気が出てもせいぜい3年? 5~6年後には解散しているだろうと思っていた。
ピンなら路線変更さえ上手くいけば長生きできるだろうが、アイドルグループとはそういうものだと思い込んでいたのである。
別に行きたい道があるなら早い方がいいに決まっている。
そう考えていた私は特に何の感慨もなく、森さん出演ラストのスマスマを観ていた。
でもメンバーそれぞれの表情をはっきり思い出せるほど心に刻まれたのも確か。
誰が想像しただろう。
彼らが古臭い固定観念をあっさり打ち破り、あんな巨大グループとして長年君臨することになるなどと。
中居正広さんと木村拓哉さんの不仲説
もう飽き飽きするほど話題にされ続けているこの不仲説、人気が出た頃にはもうあった。
今でもあって、もううんざりである。
元々ジャニーズのグループはお友だちグループなどではない。
故・ジャニー喜多川さんが選抜したメンバーの寄せ集めである。
初期などは血気盛んな年頃でもあったし、特にSMAPは武闘派グループで(稲垣吾郎さん除く)、現代ではNG事項であろう逸話がいくつもあるような少年たちだった。
確かに中居さんと木村さんのガチ殴り合いは有名な話だけど、それをいつまで引っ張るのか。
大人になった彼らはプロであり、メンバー同士はビジネスパートナーである。
草彅剛さんと香取慎吾さん(通称しんつよ)の普段のお友だちっぷりは別格として、SMAPとして存在する時の彼らはまさにプロフェッショナル。
あ、そのNHK『プロフェッショナル』で稲垣吾郎さんが言っていた。
「個人の仕事よりSMAPとしての仕事の方が緊張する」という意味のことを。
画面から伝わってくる、そのヒリヒリ感がたまらない。
殺伐としてるな~と観ていたら互いの顔を見て大爆笑したり、スキンシップして笑い合っているのにどこか殺伐としていたり。
こんな魅力的な人間観察の対象がいるだろうか。
ちなみに私は殺伐としている方に魅力を感じるひねくれ者である。
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解散報道からのドタバタ
皆さんにとっても記憶に新しいところだと思うので詳細は省く。
でもこれだけは言っておきたい。
SMAPの誰1人、解散など望んでいなかったということを。
メリー喜多川さんも古株幹部たちも時代を読めなかったようだ。
最初の報道で反発を喰らったのはジャニーズ事務所。
巻き添えの木村拓哉さんまでが悪者呼ばわりされる羽目になってしまう。
言っておくが木村さんは何も悪くない。
よろしいか?
元はといえばメリー副社長(当時)に睨まれた飯島さん(当時SMAPマネージャー)が退職を決めたことから始まっている。
文春でのメリーさん取材中、記者が娘の藤島ジュリーさんを「次期社長候補」と表現し、訝しんだメリーさんに「ジュリー派vs飯島派の派閥争い」の噂を吹き込んだのである。
「次期社長はジュリー」「派閥などない」と答えつつもメリーさんは気が済まなかった様子。そこでスマ姐さん方には懐かしの名言? が繰り出される。
「飯島を呼んで(怒)」
だいたい「ジュリーvs飯島」なんて構図を面白おかしく作り上げたのは文春様近辺の方たちだろう?
藤島ジュリーさんはメリーさんの娘、飯島さんはただの一社員である。
メリーさんがまさかこんな与太話を真に受けるようは人だとは。
ジャニーズ事務所と文春の確執を忘れていたのだろうか?
駆けつけた飯島さんを文春記者の前で追及、叱咤するメリーさん。
まずSMAPを貶し、飯島さんを貶し、派閥争いがあるのかを確認。
飯島さんは「ありません」と答えたのに納得せず、もし派閥があるのなら……
「SMAPを連れて事務所を出て行きなさい!」
強烈である。
文春の芸能記事だが、本人も事務所も否定していないので事実なのだろう。
とにかく、SMAP本人たちと別のところで事は始まったのだ。
もちろん飯島さんからある程度の話は聞いていただろうが、「独立」が頭になかったということは、もっと穏便な別のやり方があったからではないかと推察する。
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狂った歯車に翻弄されたSMAP
どこで歯車が狂ったかは知らないが、落ち着いた話を覆そうとしたメリーさんの意向で最初の解散報道がなされたのは確か。
報道が出る前に事態は収まったと聞いたと、複数の芸能リポーターが話している。
国民的グループの大スクープを黙って見守っていたことになるわけだ。
つまりゴタゴタは知っていても自主的緘口令なのか、忖度なのか、ジャニーズ事務所のことは、どんな情報であってもリポーターですら迂闊に喋れないということ。
「解散」と大きく報じた某スポーツ紙の編集長などは、「解散しないことは知ってたんですけども…あっ」と漏らしてしまい、スタジオは微妙な空気に。
彼の言う通り、解散せず続けていくという本人たちからの報告と謝罪があった。
スマスマの冒頭だけ生放送にして。
解散しないのはいい。でもあんなの観たくなかったね(あくまで主観)。
木村さんは一生懸命笑顔を見せてくれたけど、もうSMAPは死んでいた。
どう楽観的に捉えようとしても、今までのSMAPはいなくなっていた。
だいたい誰に謝罪する必要があるのだ?
あれは心配するファンにSMAPがするような謝罪ではなかった。
この日のことは書いていて本当に虚しくなる。
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正式な解散発表をなぜあの時期に?
虚しい話がちょっと続くがご勘弁を。
2016年8月17日。リオデジャネイロオリンピック真っ最中。
ジャニーズ事務所は報道各社に一斉に「SMAP解散決定」のファックスを送った。
まず木村拓哉さんがハワイに渡航中の8月10日、五輪キャスターを務めていた中居正広さんも含め、4人が揃って事務所に赴き解散を申し出たことになっている。報道では。
4人と幹部数人だけの部屋での会話なのに、誰がどう言った、誰が賛同した、誰がどう反応したかまで明らかになっている。報道では。
そこらのカフェで話していたのなら記者が聞いていてもおかしくないだろう。
どう考えても事務所の都合のいいように、事務所のどなたかがお知らせしたとしか考えられない。
ワイドショーなどでそこを追究する人がいなかったことが答えだと思う。
事務所所属のグループが解散する場合、例え仲違いがあったとしても事務所は隠して守るものだ。当たり障りのない理由にして、ファンがなるべく傷つかなようにも気を配る。
それを解散を言い出したのは香取慎吾さんだとふれ回るジャニーズ事務所。
本当だとしてもだ、香取さんは事務所保身のためのスケープゴートにされたのである。
事務所の思惑通り、発端のメリーさんの発言に触れる番組はほぼなく、世間はSMAPの誰が悪いのかという犯人捜しで盛り上がっていたようだ。
木村拓哉さん、香取慎吾さんは本当によく耐えられたと思う。
やがて飯島さんを追うように、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人がジャニーズ事務所を退所。
今度は何で中居さんが事務所に残るのか、何で木村さんや香取さんのように叩かれないのかと、事あるごとに誰かを叩きたい人々が声を荒げる。
SMAPが消滅して9カ月後のことだった。
仁と義の人たち
孟子の教えに「仁は人の心なり。義は人の路(みち)なり」という言葉がある。
仁は博愛、義は正義とも解釈されるが、要するに仁は人を思いやりつつも自分が求めるこころ、義は真っ当で筋の通った正しい路と個人的に解釈している。
私がSMAPに当てはめて単純に考えた場合、彼らにとって仁とは飯島元マネージャー、義とはジャニーズ事務所残留であるように思えた。
私個人の考察であるので異論があることは承知で続ける。
義を貫いた木村さん、仁を重んじた稲垣さん・草彅さん・香取さん、仁義を一つにしようとして最後に義を選んだ中居さん。
中居さんはジャニーさんが倒れたために退所を見送ったことからも、本当は義の人なのだと思う。
それに最初は中居さんも事務所残留サイドだと報じたところもあったのに、4対1の方が新聞が売れたのか、どなたかの意向で筋書きを統一したのか、いつの間にかその話もなかったことになっていた。
私から見ればどちらも正しく思える。
仁と義が一つになって、持つべき道徳心と路が定まり志が生じるのだ。
小難しい話をしてしまったが、SMAPがいなくなる日が来るなんて思ってもみなかった。
健康上の理由で私は一度もライブを観に行ったことがない。
各々が持つ仁義が、いつか重なる日を願う。
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最後に
メリーさんばかり責めている印象になってしまったが、飯島さんにもまったく非がなかったとは思っていない。
SMAPに関しては解散問題以前から、好意9割、不満1割という感じ。
私はどうも、個人露出が多い中居さん寄りの表現をしてしまうことが多いようなのだが、解散後はほとんど彼の番組を観ることができずにいる。
新しい地図にもなかなか追いつけずにいるし。
木村さんのドラマも観たかったのに、顔を見たら悲しくなってしまって中断した。
スマ姐さんたちは応援しているだろうに、私には難しいことのようだ。
本当に申し訳ない。
あの5人(6人)が揃っていなければ私は満足できないらしい。
1人を見ると「1人しかいない」と思ってしまうのだ。
嵐も今年で活動休止だというし……あ、一応断りを入れておく。
私は嵐にも好意を持っているし、ジュリーさんにも悪い印象は持っていない。
むしろジュリーさんが社長になってホッとしているくらいだ。
彼女は嵐を必死に育ててきた母親のような存在。
でも今は気落ちしている暇もないほどの仕事量だろう。
私はSMAPにぽっかりと胸に穴を開けられたままだが、ジャニーズ事務所の新体制には期待をしている。
まだ木村拓哉さんがいるんだからね。
副社長は滝沢秀明さんだったはず。彼も仁義の人、とても心強い。
木村さん、新しい地図のお三方、中居さん、飯島さん、ジュリー社長、滝沢副社長、嵐。この先の人生を心穏やかに楽しく過ごせますように。
メリー会長は……お風邪など召しませぬようご自愛ください。
それではまた。
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