闘病記録と従兄の納骨 短編小説『ドトールの紳士』
今日食べたアイス チョコモナカジャンボ
今日は東北の我が地域でも猛暑日となった。
午前中はまだよかったのだが、昼過ぎから動悸が始まった。
この夏、初かな?
横になろうかと思ったけど、身体の内側から熱くて身の置きどころがない。
熱を測ったら37.1℃しかなかった。
クーラーの設定温度を1℃下げたら、動悸が落ち着いたので、ようやくブログを書いている。
一筋縄ではいかない猛暑日対策。
次からはもっと早く温度を下げよう。
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闘病記録 暑さで鬱(うつ)が安定?
暑い日を乗り切るので精いっぱいで、鬱は現状維持(重め)で安定している。
と、以前も書いた気がするが、ずっとそんな感じだ。
今日は日中に動悸がしてヒヤッとしたものの、冷房を強くすることで治まった。
昨年の夏も動悸から始まり、いくら水を飲んでも喉が渇いた状態が続き、パニック発作寸前までいったことを思い出す。
パニック発作が見えてくると冷静になることは難しいが、昨年は何とか回避できた。
動悸はおもに身体の内側か外側の熱が原因なので、今日のように冷房の温度を下げたり、冷たい水で身体を冷やしたりしながら切り抜けていこう。
胃腸に負担がかかるだろうが、それがもっとも効果的である。
今年はこちらでも猛暑日が多くなりそうだ。
油断なく乗り切りたい。
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従兄の納骨
6月に亡くなった従兄の納骨が本日、執り行われた。
父がデイサービスの日を選んだのである。
祖母と自分の母親と一緒のお墓に入り、本人もホッとしていることだろう。
私はもし歩けたとしても、猛暑日の屋外、それも墓地に行くのは無謀である。
したがって、親族はブラザーと奥さんが参列。
とんでもなく暑かったらしい。
そして新たな問題が発覚。
病院から入院費とは別の請求書が届いたらしい。
ブラザーとは少ししか話せていないので詳細不明だが、何となく察しはつく。
葬儀代は借金をして払ったが、今回はどうか。
そうでなくても自宅の下水工事で100万以上かかるというのを、別の応急措置で20万で済ませようとしていたところだ。
外壁も応急措置しかしていないので、いつかはしっかりと直さなくてはならない。
家のローンはとっくに払い終えているが、維持費というはバカにならないものである。
あ、納骨の話だった。
これでひとつの区切りとなる。
新盆だからといって特別なことをするわけでもなく、母の時と同じだろう。
お供え物が少しグレードアップするくらいか。
従兄の話になると、どうしても金銭問題が出てくる。
せめて生命保険には入っていてほしかった。
読者様方は生命保険に入っていない人の方が少ないと思う。
私でも入っているくらいだし。
葬儀代くらいは自分で遺せるのが理想である。
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短編小説『ドトールの紳士』
もう生きていてもしょうがない。
目の前のアイスコーヒーも飲む気にならず、私は椅子の背もたれに身体を預け、ずっとうつむいていた。
働いていた会社でリストラ、それから仕事を探し続けて半年になる。私はもう捨て鉢になっていた。三十半ばの独身女である。仕事は見つからないし、貯金も残りわずか、アパートの家賃を払ったら底をつきそうだ。
頼れる友人は皆、子育ての真っ最中だし、実家には祖父母と両親、そして長男一家が暮らしている。そんなに広くない一戸建てに、私を受け入れられる部屋はなかった。
アルバイトでもパートでも構わない。とにかく働いて食つなぐしかないのだが、私にはもう生きる気力すら湧いてこなくなっていた。
「フッ……うつ病かな」
「え?」
思わずひとり言を言ってしまい、私はハッと顔を上げた。
空いているテーブル席を挟んだ向こうに男性がいる。
「あっ、何でもないです。すみません」
驚いたように見つめる男性に、慌てて返した。
上品な微笑みで会釈され、自分も軽く会釈をしたが気まずい。仕方なく、氷が溶けきったアイスコーヒーを飲み始めた。
心臓が早鐘を打っている。ひとり言を聞かれた恥ずかしさもあるが、理由はそれだけではない。一目見ただけで、その男性がとても不思議な存在であるように感じたのだ。
男性が本を読んでいるのをいいことに、何度かチラ見する。
テーブルにはホットコーヒー。白髪なのに顔はとても若い。年齢不詳である。カジュアルなジャケットをエレガントに着こなし、どこから見ても紳士だ。このコーヒーショップには申し訳ないが、こんな紳士がなぜここに? と思うほど、彼の佇まいは一枚の絵画のよう。周囲のガヤガヤした音さえ聞こえなくなり、私の目には、まるでそこだけが異次元のもののように映った。
やがて彼は本を閉じて立ち上がった。帰るようである。
「あの、お嬢さん」
テーブルの前を通り過ぎようとした紳士に声をかけられ、私はコーヒーを吹き出しそうになった。歳相応に見える私は「お嬢さん」呼ばわりされる容貌ではない。
「驚かせてしまいましたね。すみません」
「え? あ、いいえ……」
無意識にすごい形相で凝視してしまったらしく、紳士に謝罪された私は引きつった笑みを返した。また周囲の音が消え、彼の穏やかな声だけが耳に滑り込んでくる。
「どこかでお会いしましたか?」
「いえ、初対面だと思いますけど」
「そうですか……」
いかにも賢そうな思案顔が様になっている。顔も声も若いが、どこかの大学の教授とかだろうか。
「よろしければこの本を読んでみませんか? 私は読み終えましたので」
「はい?」
事態が呑み込めず、差し出された本をひとまず手に取った。知らない作家の知らないタイトルの本だ。
「では、ごきげんよう」
「ごきげんよう……えっ、あ、ちょっと待ってくださいっ」
慌てて立ち上がり膝をテーブルに打ちつけたが、痛がっている場合ではない。
「そんな、まさか頂くわけには……」
「本はお嫌いですか?」
「いえ、好きですけど、そういう問題じゃなくて……えーっと……」
上手い断り方が思い浮かばずに、私は焦るばかり。
「では、こう致しましょう。次にお会いした時に返して頂くということで」
「次に? え? ここですか? どこで――」
「どこかはわかりませんけど、お嬢さんにはまたお会いするような気が致します。私の予感が当たったら面白いと思いませんか?」
どこまでもあたたかい微笑み。あまりに自信満々に言われて絶句しているうちに、紳士は素早く帰ってしまった。
いや、追おうと思えば追えたはず。追わなかったのは自分の意志だ。彼の予感が当たるかどうか、面白いと思ったのだ。絶望の淵にいたのが嘘のように、その予感に胸が躍ったのである。
「どうかしてるわ……」
今度は遠慮なく声に出し、大きなため息をついた。ため息は雑音にかき消され、もう異次元のような感覚はなくなっている。
あの紳士は私が自殺志願者だと思ったのかもしれない。だから本を貸し、実現するか甚だ怪しい "予感” とやらを持ち出したのだ。まったく嫌味のない鮮やかな提案に、小娘のように踊ってみるのも悪くない。もう失うものは何もないのだから。
コーヒーのおかわりを頼み、私は早速、本を開いた。
3ヵ月後、私は紳士と会ったコーヒーショップで働いていた。働き始めたのは彼と会ってからすぐである。
どうしても彼に会って本のお礼を言いたかった。もちろん、本はすぐに取り出せる場所に置いてある。彼に借りた本のおかげで、私の人生観は大きく変わった。直接ではないものの、読み終えた者すべてに「どう生きるか」という課題を投げかけるような小説だったのだ。
それまでの見栄っ張りでプライドばかり高かった私はもういない。どんな時でも笑顔を絶やさずにいられるし、生きること、仕事ができることを、本気で嬉しいと感じるようになった。
紳士はまだ一度も現れていない。もしかしたら私が休みの日に来たことがあるかもしれないが、それもまた縁というもの。自分が出勤の日に再び現れるのを待てばいい。
『お嬢さんにはまたお会いするような気が致しますよ』
おばちゃんやおばあちゃんになっても、私は心からの笑顔で待ち続けるだろう。
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あとがき
短編小説にはモデルがいらっしゃる。
勝手に書いてしまって、その方の意に沿わない内容になっていないといいのだが。
というか、ドトールコーヒーショップさんにも怒られないといいのだが。
夏は少し現実逃避が多くなるかもしれない。
読みたくない皆様には申し訳ないが、これが私である。
日が暮れてからかなり涼しくなってきた。
冷房の温度を直さなくては。
それではまた。
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