はてなの今週のお題「もしもの備え」うつ病と避難行動
大きな災害が起きた時のことを考えて、我が家では玄関に防災リュックを吊るしてある。
停電に備えて懐中電灯は各所に配置してあるし、普段からスリッパを履いて歩くことも習慣にしている。
でも私の場合は…?
今回は、大災害を想定し、精神疾患を抱える私個人の「もしもの備え」を見直してみたい。
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私個人の問題 睡眠障害などの不安障害
うつ病治療に当たり、現在もっとも苦労しているのが睡眠障害である。
不眠と中途覚醒の症状が特に強い。
睡眠障害に関して以前記事を書いたので、よろしければご一読を。
そこで少しずつ薬を強くしていったのだが、眠剤の切り札と称されるフルニトラゼパム(サイレース)すら中途覚醒は必ず起こり、酷い時には眠気さえこないこともあった。
病院の先生の判断により、上乗せしてミルタザピン(リフレックス)という睡眠導入剤も一緒に飲むことになる。
これが中途覚醒に初めて効いた。
ただし副作用にはまだ慣れていない。
過眠である。
多い時で1日通算16時間以上寝てしまったことは一度や二度ではない。
途中で無理やり起きても言動の記憶があやふやな上、身体がふらついてとても危険なのである。
心療内科の受診日に湿布を出してもらっただけで済んだのは幸い。
だいたい全治1ヵ月といったところか。
何が言いたいかというと、眠っている最中の突然の避難行動にはかなり危険を伴うということだ。
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ダムの放流より怖い自然災害「鉄砲水」
大きな地震や火災の場合は、最初から逃げることを諦めている部分がある。
突発的な出来事にはとても対応などできない。
認知症の父に関しては、同じ1階にブラザーが眠っているので、夜中に何か起きても安心感がある。
かく言う私も、いざとなれば半分眠っていても階段を駆け下りる可能性もなくはない。
問題は台風や水害など、ある程度事前に予測できる災害の場合である。
地元で今年一番の大雨の日、避難勧告が出されたのは夜中だった。
時間通りに夜眠っている父とブラザーにかわり、私は朝まで家の裏の小さな川を監視していた。
普段より水量は多いが避難するほどの水位ではない。
怖いのはダムの放流や、鉄砲水と呼ばれる現象である。
ここに引っ越してきてから一度も経験はないが、だからと言って今後もないとは限らない。
ダムの放流なら事前に情報を得られる。
橋を2つ越えて避難所へ行く危険をおかすより、2階への避難準備をした方がいいし、その時間も長くはかからない。
ところが鉄砲水は予告もなく起こるのだ。
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土砂災害防止法では土石流の一種として区分されている鉄砲水。
釣りやキャンプが趣味の人ならご存知かと思う。
豪雨により、大量の水が一気に下流へ流れる恐ろしい自然災害である。
「川津波」とも呼ばれ、土石流と同じように、そのスピードは信じられないほどの速さだ。
ちなみに山崩れや大規模な土砂崩れは「山津波」とも呼ばれる、
幼い頃、大人たちからよく言われたことがある。
「雨が上がって天気がよくなっても川で遊んじゃなんねえぞ。山で大雨が続けば鉄砲水が襲ってくるからな。天気の悪い日はとにかく川に近づくなよ」
昔住んでいた家の近くには浅くて小さい川があり、夏場など子どもたちがよく遊んでいた。
川が小さ過ぎて脇には木々が生い茂り、とても山の方の雲の様子など見えない場所だったので、子どもたちは大人の言葉に従った。
近年でも鉄砲水と思われる災害により、犠牲者が発生する痛ましい事例が報告されている。
前兆として川が茶色に濁るなどの判断材料はあるらしいが、決して川の様子を見に行かないことこそが命を守る行動となる。
そのような次第で、複数の不安障害を抱える私は夜に眠る気になれないのだ。
避難行動と睡眠導入剤の折り合い
先に言ってしまうが折り合いなどつかない。
朝になり家族が起きてから睡眠導入剤を飲んで睡眠をとる。
それまでは2階の自分の部屋から何度も川の様子をうかがう。
街頭に照らされた川面が水位を教えてくれるのだ。
避難勧告が出た日、もっとも水位が上がったのは明け方だった。
4時から5時辺りにかけてだったと思う。
過去記事を探してみたら7月11日の記事に書いていた。
私のこうした行動は、ブラザーから見ると大袈裟に映るらしいので、寝ずの番もこっそりやっている。
ところが川の水量が減ってきたと思ったら、遠くからダムの放流のサイレンが聞こえてきた。
ここから聞こえる範囲でサイレンを鳴らすダムは3つある。
たいていの場合は本流の川のずっと東にあるダム。
ここはよくサイレンを流す。
私たちが住んでいるのは本流の西側なので、直接的な影響はない。
でも、もし家の裏の小川の上流にある大きなダムのサイレンだったら?
実はそのダム、私たちが引っ越してきてから一度も放流したことがなく、サイレンも聞いたことがないのだ。
もし、万が一、そのダムのサイレンだったらと思うと、不安は一層強く刺激された。
結果、早朝にブラザーを起こしてしまった。
寝起きの機嫌の悪さのまま文句を言われたが、彼が起きたことで私はやっと緊張から解放され、睡眠導入剤を飲むことができた。
彼が起きていてすぐ行動できる態勢になっていれば、何かが起きても大丈夫。
もうどこのダムでもいい、やっと眠れる…といった気分である。
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避難所と不安障害を伴ったうつ病患者の折り合い
これは一番難度が高いので、もちろん折り合いはつかない。
しかし避難しなければいけない状況になれば避難するしかない。
わがままを言ってひとり家に残りたいところだが、それでは家族に心配をかけてしまうだろう。
避難所に避難した自分をリアルに想像してみる。
耳栓をして毛布にくるまり、丸まって何時間も横になったままだろう。
家でさえ、ひとりになりたくてしょうがない私だ。
耐えられるわけがない。
だから耳栓をし、目を閉じ、その空間をシャットアウトするしかない。
横になるのは寝ているふりのためだ。
たぶん薬を飲んでも眠れないと思う。
とろとろっと浅い眠りを繰り返すだけだろう。
きっと3日ももたない。
ネガティブなことばかり挙げたが、健康な人ですらストレスがたまるであろう避難所生活。
東日本大震災で長い避難所生活を経験した叔母一家から、その過酷さは聞いている。
精神疾患者には尚更のこときついはずである。
いや、待て……私は本当に避難所に行く選択ができるのか?
こうして堂々巡りは延々と続く。
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あとがき
お題の「もしもの備え」から少し外れてしまったが、心構えも備えの一つとして考えていただきたい。
私ははっきり言って自信がない。
家族を生かすためならとんでもない力を発揮できそうだが、自分のためとなるとセルフネグレクトでありうつ病の私は、何もしない可能性もあるのだ。
頭での理解と、気持ちと、実際の行動。
これらが一致するまでには、まだまだ時間がかかりそうである。
でも物理的な「備え」ならできる。
まずは、そこを怠らないようにしていきたい。
それではまた。
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